こんにちは、ヘレンです。
美しくも深い宝塚の世界へ
あなたをいざなう
「宝塚ヘレン劇場」へ
ようこそ
今日は、ヘレンが書く
物語シリーズです
今回の物語は
天の岩戸隠れ
(あまのいわとがくれ)
古事記の中でも
特に有名な物語ですよね。
ご存じない方のために
まずは、
ざっくりとしたストーリーを
お話します。
1.天の岩戸隠れの
ざっくりストーリー
昔々、神様たちの物語。
機織り女(はたおりめ)と呼ばれる
神様の衣服を作る女性が
スサノオに殺されてしまい、
それに激怒したアマテラスが
天の岩戸(あまのいわと)という
洞窟(どうくつ)の中に
引きこもってしまった。
アマテラスに外に出てきてもらうため、
洞窟の前で
にぎやかに祭りをしたところ、
気になったアマテラスが
外を見ようとして
岩の扉を開いて体を乗り出した。
少し開いた岩の扉を
力持ちの神様がグッと開いて、
アマテラスが外に出てきて、
世界に光が戻った
という物語です。
これを現代版にすると
どんな物語になるかな
と思い、
物語を書いてみました。
この物語の中では、
機織り女(はたおりめ)は、
アパレルメーカーの社員、
波多野さおり(はたの・さおり)
アマテラスは
アパレルメーカーIWATO
の社長、
天野照美(あまの・てるみ)
エンタメとして
楽しんで読んでもらえたらと思います。
2.現代版「天の岩戸隠れ」
2-1.岩戸隠れ
時は現代、
「IWATO」というアパレルメーカーで
大変、頭の切れる、女性の社長がいました。
名前は「天野照美(あまの・てるみ)」
周りに厳しく、
そして自分にはさらに厳しい
仕事一筋の女性です。
創立から間もない会社にもかかわらず、
彼女の手腕で急速に成長させ、
「IWATO」は、東京で開催される
大きなファッションショーに
今年、初めて参加することになりました。
このファッションショーに
社運をかけて、
社長はじめ、社員みんなが
準備を進めています。
この会社のデザイナーで
「波多野さおり(はたの・さおり)」という
女性がいます。
彼女は、
ファッションショー
プロジェクトの
中心的存在ですが、
ショーが間近に迫っているにもかかわらず
プロジェクトでは
デザインどころか、
コンセプトも決まっていません。
毎日、夜中まで仕事をして、
3時間ほどしか眠れないことも
しょっちゅうです。
ヨーロッパの最新の
デザインを参考にしながら、
なんとかプロジェクトメンバーの
意見をまとめあげました。
今日は、社長の照美も参加しての
プロジェクト会議。
「さおり」は、
緊張しつつも、
コンセプトやデザイン案を
プレゼンしました。
しかし、社長「照美」にとっては
納得のいくものではありません。
思わず、大声で
「さおり」に怒鳴ってしまいました。
「何なの、これは!
ショーをなめてるの?
どこかで見たようなデザイン、
ありきたりのデザイン、
どれもこれもインパクトに欠ける
このプロジェクトに
一体いくらの予算を
かけていると思っているの
全部やり直しよ!」
あまりの剣幕に
プロジェクトメンバーは
皆、黙り込んでしまいました。
「さおり」は血の気が引いていました。
やっとの思いで作成した
デザイン案を全否定。
「さおり」は立ち上がって叫びました。
「私は、プロジェクトリーダーを
降りま、、、」
その時、激しいめまいで
「さおり」は倒れてしまいました。
プロジェクトメンバーは口々に
社長に意見します。
「我々は、もう限界だ。
ショーに参加するなんて
そもそも無理だったんだ。
やりたければ
社長一人でやればいい。」
信頼していたプロジェクトメンバーに
罵られ(ののしられ)て、
社長の照美は、頭に血が上り、
パニックになって怒鳴ってしまいました。
「あなた達がこんなに無能なんて
思わなかったわ!」
照美は会議室を飛び出し、
社長室に鍵をかけて、
閉じこもってしまいました。
照美は、そこから1週間、
社長室に閉じこもり、
すべての会議をキャンセル。
ショーの開催日は日に日に迫る中、
準備は滞っていました。
2-2.天の岩戸開き
ある社員が提案しました。
「もう、ショーは間に合わない。
辞退するしかない。
ならば、いっそ、
ここでやらないか?」
別の社員が応えます。
「そうだな。
サンプルで作った衣装がある。
残業をして作った衣装だ。
無駄になるくらいなら、
ここでやろう!」
社員たちはショーのために作った
衣装を持ち出し、
それぞれが気に入っている
衣装を着て
オフィスの廊下をランウェイにして、
各々ショーを始めました。
モデルではない、
普通の社員の
ウォーキングは
ぎこちなくて、
しかも、
衣装のサイズも合っていないため、
衣装が着崩れたりして、
かなりかっこ悪い
ウォーキングでしたが、
それがおかしくて、
みんな笑いだしました。
そのうち、社員の誰かが
ショーで使う予定の音楽をかけたり、
照明を変えたりして、
まるでショーのような
雰囲気になってきました。
その声は社長室にまで響いています。
照美は不思議に思いました。
「なんなの!?
こんな状況で、
一体に何で盛り上がっているの?」
廊下の様子を見たくて、
社長室のドアの鍵を開け、
少しだけ扉を開いて、
そっと廊下をのぞいたところ、
待ってましたとばかりに、
社員の一人が
扉を強引に開いて、
「社長、これを着てください」
そう言って
衣装を渡しました。
照美は、気が進みません。
「何、この地味な着物は?
こんなの着たくないわ。」
社員は応えます。
「さおりさんが、
一番こだわってデザインした着物です。
派手な着物を現代風にアレンジした
衣装はこれまでもたくさんありましたが、
これは、
【おばあちゃんの家に
ありそうな着物をリメイクした】
というコンセプトで作った衣装です。」
照美はその衣装を着て、
廊下をウォーキングしました。
社員たちが歓声があがり、
照美も楽しくなってきました。
照美は社員に言いました。
「みんな、ごめんなさい。
私が大人げなかったわ。
絶対にショーを成功させましょう。」
しかし、社員の一人が
言いました。
「社長、ショーは1週間後です。
もう衣装が間に合いません。
ショーは辞退するしかありません。」
照美は少し考えて言いました。
「中古の着物屋さんで着物を仕入れて、
それをリメイクしましょう。
コンセプトは
【タンスの肥やしになっていた
着物の再生】
デザイン課だけでなく、裁縫できる人は
みんな衣装作成に参加して。
もちろん私も衣装作成に参加するわ。」
それから1週間後、
「IWATO」のファッションショーは
大盛況となりましたとさ。
めでたし、めでたし。
ヘレンが書く「天の岩戸隠れ」でした。
最後までお付き合いいただき、
ありがとうございました。
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